いかにして社員の仕事の効率を上げるかということは、どの企業においても重要な課題です。

社員の仕事の効率を上げ、実績につながるようなオフィス、様々なアイディアがどんどん出てくるような会議室が作れたらどんなによいでしょう?

また家庭においても、お子様の成績が上がる夢のようなお部屋があったらどうでしょう?

毎日の食事を作るキッチンも、テキパキと作業の進むようなものであったら本当に助かります。

生理的な知覚

生理的な知覚

色が電磁波(光)の波長であることは、色に興味のある方だけでなくてもよく知られてきたことです。

色彩心理がどうしてこんなに注目されているのかといえば、色の知覚の仕方が(病気などの特別な事情がある場合を除いて)ほとんどすべての人で共通だからです。

赤を見て冷たいと思う人や、青を見て熱いと思う人はほとんどいないと思います。

これは、色というものが人間にもたらす心理的効果が、ほとんど同じだからです。

もちろん、人間はそれぞれの国や地域で文化的な背景がありますので、色の持つ印象は、国によって異なることもあります。

ただ、心理的な効果についてはそれほど大きく異なることはありません。

だからこそ、この心理的効果を上手に使えばこちらが望んだような効果をもたらせる可能性が期待できるのです。

今回はこの心理的効果が実証されている赤と青についてとり上げてみます。

赤い部屋・青い部屋?色彩心理の魔法?

色による知覚の違い

色による知覚の違い

赤は人間が知覚できる色の中でも一番波長が長く、遠くまで届きやすい色だと言われています。

だからこそ、危険を知らせるサインのほとんどは赤になっています。

それに対して青は波長の短い色です。空気中のチリなどにぶつかって、あまり遠くまで届きにくい色です。

夕焼けの色が赤いのは、太陽が地表近くにあることで、光が地表のチリやゴミを通り抜けて来るため、波長の短い青はそのチリやゴミに遮られてしまい、波長の長い赤だけが人の目に届くからです。

赤は血や熟した果実の色を連想させ、興奮させる色です。

実際心理学の実験で、天井も床もすべて赤い部屋に人を入れた時と同様に青い部屋に人を入れた時で、血圧を測ったところ、赤い部屋にいる人は、通常より血圧が高くなり、青い部屋の人は、血圧が低くなるという結果が出ました。

色による時間の感じ方

色による時間の感じ方

また、赤と青では時間の感じ方に違いが生じることも研究で明らかになっています。

先述した血圧の高低が影響しているかと考えられます。

赤の部屋にいる時、大抵の人は血圧が上がった状態でいつもより心拍数も上がっています。

人は自分の鼓動で時間を感じています。心拍が早ければそれなりに時間を早く感じます。

だから、赤の部屋にいる人は同じ30分でも時間を長めに感じるということです。

同様に、青の部屋では心拍が落ち着くので、通常感じる30分よりも同じ時間が短く感じらます。

飲食店の例で言われますが、お客様の回転を上げたい時は赤い室内にするという方法があります。

先述したように、同じ30分でも赤の方が短く感じるわけですから、お客様は短い時間で「もう十分滞在した」と感じて、次の店へ流れてくれるというわけです。

逆に、長く滞在してほしい店は青にすれば逆のことが起こるわけです。

シーンに合わせた空間づくり

工場・オフィス

このような効果から、工場やオフィスなど、正確性や恒常性を求められる職場では、落ち着いて仕事に集中できるとして、空間のインテリアには青が推奨されています。

ただ、企画や営業会議、打ち合わせなどのクリエイティブな場所では、短時間で結果を出せた方が効率的です。

つまり心拍数をあげた方が良い結果を期待できるようなときは赤が有効ですが、その場合は壁全体を赤というような使い方ではなく(おそらくそんなことをしたら、議論が白熱した時に取っ組み合いの喧嘩になってしまうかも…)家具などを使って赤をポイントで使うことをおすすめします。

家庭(書斎・勉強部屋)

書斎など、静かに集中して本を読んだり考え事をしたいような場所では、やはり青を使用するのが効果的ですが、ここでは他の色との組み合わせが重要になってきます。

あまりに濃い色にしてしまうと、鬱になりやすくなりますので、書斎に閉じこもりがち…というような人には青系よりも、むしろ緑系~黄色系の色にした方が、気持ちが穏やかになって他人とのコミュニケーションを取りやすくなるので、おすすめです。

大人の場合は落ち着いてゆったりしながら集中したいという時は、深い茶色などもおすすめです。

勉強部屋も青が集中できて良いと言われています。

ただ、勉強には集中力と共にひらめきや、目標へ向かう意志などの強い気持ちも必要ですので、青だけでなく黄色や赤なども小物で取り入れると良いと思います。

また、欧米等では部屋の壁の色は日本に比べて自由に捉えているいるため、部屋の中で壁毎に色が違うというインテリアもあります。

それらを参考に、お子様の勉強部屋も、勉強コーナーとベッドなどがある睡眠コーナーに分けて壁紙を提案するというのも有効だと思います。

集中して効率のあがる壁紙とは?

色の組み合わせで考える

ブルーの濃淡
トーン:ペール~ライトグレイッシュ
ブルーの濃淡
床に近いところから上へ水平線や地平線を思わせる色帯を入れて、青が強すぎて疲れないようにする。(青があまりにも濃いと鬱々とするため)
ブルー単色
トーン:ペール~ライトグレイッシュ
トーン:ライト~ライトグレイッシュ
単色で使う場合は青みが強すぎないように気をつける。明るめか、黄味や赤味を含んだ色にする。青は暗くなりがちなので、なるべく明るさを残したものにする。
ブルー+グリーン/オレンジ
トーン:ライト~ブライト~ストロング
トーン:ライト~ブライト~ストロング
打ち合わせ用会議室、企画会議室といった創造性・協調性・理性が必要とされる部屋のカラーリング。左はより協調性を必要とされる会議室へ。右は創造的な意欲が必要とされる場所へ。

模様との相性

抽象柄・具象柄

抽象柄・具象柄

職場や作業場で集中するためにはあまり気の散るものがない方が良いので、柄とは相性がよくありません。

使うとしても、ぼんやりした、形が判別できないような抽象柄や、不規則でぼんやりした水玉などが提案できます。

ただ、家庭や子供部屋などでは、毎日見る場所なので、具象柄を使ったとしても、見ている人ですら気づかないくらいに自然に背景となることも考えられます。

ストライプ・繰り返しの模様

ストライプ・繰り返しの模様

太幅、細幅を組み合わせた動きのあるストライプも良いかもしれません。

基本は無地ですが、右上がりのストライプも面白いかもしれません。

基本的に柄や色のリズムが揃っている方が、集中しやすいと言えます。

繰り返しの模様もいいでしょう。

無地

無地

集中して能率が上がる壁紙ということで、無地が基本的にお勧めです。

p4:ブルーの濃淡でご提案したように、下を向いて仕事をしている時に濃いめの青、そこから地平線や水平線を思わせる色を挟んで空の色へと変化してゆくと、息抜きの際天井を見上げた時に空の色が目に入るという意図でご提案させていただきました。

家庭用・子供部屋(勉強部屋)におすすめの壁紙

家庭用・子供部屋(勉強部屋)におすすめの壁紙

お子様の意見も取り入れて良いかと思いますが、成長や変化の激しい年代なので、あまり趣味的なものやキャラクターものにしてしまうと、すぐに飽きて貼り替えということにもなるかと思います。

夢のあるデザインも良いかとは思いますが、勉強をメインにしたい場合は無地や色でブロッキングした壁のデザインも良いかと思います。

ドアから勉強机まで、ドア側は明るい赤味の色(オレンジなど)で、部屋の中央(お友達と遊ぶような場所)は黄味の色、勉強スペースは青味の色といったようなご提案も面白いかもしれません。

色味は控えめで、部屋にいて落ち着くようにすると、勉強に集中できると思います。

家庭用・書斎におすすめの壁紙

家庭用・書斎におすすめの壁紙

趣味の部屋ということなので、基本的に前述の内容を踏まえたものなら問題ないと思います。

大人の方でもお子様でも同様なのですが、濃い青を多用してしまうと、鬱々とする傾向がありますので、そのお部屋をお使いになる方の性格や状況も加味した上でのご提案になると良いかと思います。

職場・作業場におすすめの壁紙

職場・作業場におすすめの壁紙

基本的に事務仕事をする場所は無地が良いと思います。

p.5でご提案した3つの模様がそのまま職場用の効率の良い壁紙ということでご理解下さい。

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